ひょんなことにうちの家に一流レストランのコックさんが居候することになった。
イタリアの次のレストランの仕事が決まったり決まらなくなったりしてるうちに今いるアパートを出なくちゃいけなくなったのだ。ご近所さんってこともあるし、何回かのみに行ってる仲だったので、しばらく一緒に住むことになった。
彼とは家の近くのバーで友達と飲んでるときに出会った。他二人のコックさんとのみに来てて、その二人とも仲良くたまに飲みに行く仲だ。彼は日本からイタリアに来てもう5年目、ナポリやベニスといった所の色々なレストランで修行を積んできて、色んな地方のイタリア料理を吸収してきた。つい最近までベニスの有名な Hotel Metropole のレストランでコックさんをしていた。そこでの仕事がひと段落ついて、一時期ベローナでのシェフとしてのポジションの仕事が決まってたのだが、その返事があいまいになってきてこれからどうしようって感じの時だった。
そんな彼が居候に来た日、
まず家に来て
「ポモドーロスパゲティーでも作ろうか?」って話になった。
彼のスパゲティーはレストランで食べると普通に16ユーロくらいするらしい。(1600円)
1600円のスパゲティー作れるコックさんのスパゲティーを家で食べれるなんて幸せぇって事で、なんならその作り方も勉強しようかと思って、彼が作っているところをじーーーっと見ていた。
作り方(3人前)
材料
トマト6個
にんにく
スパゲティー
モッツァレラチーズ(一個)
バジル
パルメジャンチーズ
オリーブオイル
塩
1)まずトマトを8等分に切る
2)フライパンにオリーブオイルとにんにく一かけを温める
3)その中に切ったトマトを入れてしばらく炒める
4)トマトをつぶす、だんだんトマトが水っぽくなってきてソースっぽくなってくる
5)同時に塩で味付け
6)ゆでたスパゲティーとトマトソースを混ぜる
7)その中に一口大に切ったモッツァレラチーズを入れて、かきまぜて溶かす
8)塩で味を調える
9)お皿にもってバジルをのっけて、お好みでパルメジャンチーズもかけちゃって下さい
トマトの缶詰から簡単に混ぜただけだと思ったら、本物のトマトをつぶしてソースを作るなんて感動!ちなみにレストランではポモドーロスパゲティーは出さないみたいです。ホテルに泊まるお客さんだけ出していたそうな。
彼曰く、「シンプルなものをおいしく作れるのが本物。」
らしいです。
Simple is the best!
もうフライパンを振る姿とか芸術でした。食で人を喜ばすことを職業としている人のスキルを目の前で見れて良かったです。もうコックさんとして15年目なのだからそれだけ続けるってすごいなぁって思いました。
塩の目分量とかも素晴らしかったです。私お料理する時、塩を入れすぎちゃう傾向があるんですけど、彼の塩加減は完璧でした!
ささっと作ってささっと片付ける癖もついてて、さすがてきぱき要領がいいなぁと思いました。
プロの動きは違う。
見習わないとと思って、いい花嫁修業になりました。
モッツァレラチーズがうまく溶け込んで、あまずっぱいトマトにとろ~っとした感触で一口一口が天国でした。
実は、彼の仕事居候一日目に決まっちゃったんです。電話で話してて、うきうきしてるからどうしたの?って聞くと、
「仕事がシチリアで決まった!」
シチリアーーーー???超南じゃん(涙)
ベローナだと思って、すぐ会えると思っていたのですが、えらい遠いところにいくことになりました。
とにかくめでたいということで、ワイングラスで赤ワインで乾杯しました。
会えなくなるのはさみしくなるけど、シチリアに会いに行くねーーーー!!!
ちなみに彼は7月で日本に帰国するらしいです。5年も続いたイタリア生活に終止符をつけるということはとても大きな決断だと思います。でも、彼とも少し話しましたが、ある国を去るということは、次の生活のスタートを意味すると。言い換えれば、終わらせないと、次に進めないということだと。そういう意味で、潔さというのは時に必要であると思うのです。
彼は将来的には日本でレストランを開けたいそう。彼はきっと40歳になっても50歳になっても料理することを仕事にしているんでしょうね。50歳くらいになってもニコニコしながらシェフの帽子をかぶっている姿がもう浮かびます。
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